恵和株式会社 KEIWA Incorporated

光学フィルム

光学フィルムとは何か

光学フィルムは、光学シートとも言いますが、光線を通過させる、または反射させる、あるいは吸収することによって、何らかの効果を生み出す高分子フィルムのことです。

高分子とは、いわば長い鎖を持った分子で、方向によって違う性質を持つのが特徴です。高分子でフィルムを作って、一方向に伸ばすと分子が伸ばした方向に並びやすく、伸ばした方向とそれに直交する方向で屈折率が異なることで位相差を与えたりします。また、ヨウ素等の染料を加えて伸ばすと偏光板になります。
ここでは、光学フィルムの主なものを解説します。

➀フラットディスプレイパネル用光学フィルム
フラットディスプレイパネル用光学フィルムは、主として液晶パネルや有機ELディスプレイに使われています。より大きな画面にする、またより緻密で見やすい画面にするといった要求はとどまるところを知らず、優れた光学特性を発揮し、しかも軽いフィルムが求められています。 

②反射防止フィルム
防眩フィルムとも呼ばれています。画面の外側にあって、傷つきにくくし防塵の役目も担います。また外からの光の映りこみを防ぐ機能も備わっています。主に厚さが100μmのPETやTACフィルムに、フッ素モノマー等他複数の、屈折率が違う反射防止材料を多層コーティングして作られます。液晶パネルやプラズマディスプレイ等のディスプレイだけでなく、自動車のメーターパネルや住居やビル等でも使われています。

③配向フィルム
液晶ディスプレイの液晶部分に直接接するフィルムです。

④偏光フィルム
液晶ディスプレイの内部には、液晶層を挟む形で2枚の偏光フィルムが用いられています。

⑤偏光層保護フィルム
偏光フィルムは強度の面でやや難があります。それを支持、保護するのが偏光層保護フィルムです。
配向フィルムと偏光フィルムについては、次の補足説明を参照してください。


【補足説明】 ~液晶の仕組み~
液晶は、液晶分子で構成されています。液晶分子とは、細長い形をした分子で、自然の状態では長軸の方向に規則正しく並ぶ性質を持っています。また、電圧がかかった状態では、電圧の高い方から低い方にまっすぐに並ぶ性質もあります。
液晶分子を、並行な細い溝を刻んだ薄い板(これが配向フィルムです)に触れさせると、その溝に沿って分子が規則正しく並びます。溝の向きが直角にねじれた状態になる2つの配向フィルムで液晶を挟むと、液晶分子は液晶の層の中で少しずつ向きを変えながら、90度ねじれた状態になります。これが液晶パネルのいわば核心部分です。

さらにこれを、2枚の直交させた偏光フィルムで外側から挟みます。偏光フィルムは、特定の方向の光の波だけを通すフィルムです。もし間に何も挟まなければ、直交した偏光フィルムは光が通過しない状態になるのです。
しかし、配向フィルムと偏光フィルムとを向きを合わせておけば、斜めにねじれた液晶分子の隙間が光の通り道となるので、光が通り抜けられるのです。ここに電圧をかけると、ねじれた状態に配置されていた液晶分子の向きが変化して、電圧の高い方から低い方に沿って並びます。

つまり、光の通り道になっていたねじれが解消してしまうので、2枚の偏光フィルムにさえぎられて、光は通らなくなってしまいます。 
このように、電圧をON/OFFすることで、光を遮断したり通したりすることができるわけです。また、電圧の強さを変えると光の量も調節できます。こうした仕組みをもった液晶素子を配列して、後ろから光をあてると、映像が表示できます。これが液晶パネルの仕組みです。

【補足説明】 ~偏光~
光は波の性質を持ち、特定の方向に振動しながら進んでいます。普通の光、たとえば太陽光線であれば様ざまな方向に振動しているのですが、レーザー光や、偏光板と呼ばれるものを通した後の光は、特定の方向だけに振動しています。これを偏光と言います。そして1つの方向だけに振動する光を直線偏光と呼びます。液晶モニターから出ている光は直線偏光です。


⑥光拡散フィルム
光拡散シートとも言い、ライトから出る光を拡散するフィルムのことです。詳しくは、光拡散フィルムに関する説明を参照してください。

⑦反射フィルム
光源の背面にこぼれた光を前面に効率よく反射させるフィルムです。光学的な効果を生む以外にも、光源となるLEDを傷から守り、光ムラが生じるのを防ぎ、裏側のフレームが見えないようにする等の役割も果たします。

⑧無偏光フィルム 
液晶ディスプレイの輝度を高め、また薄型化を実現させるために、バックライトユニットには反射型偏光フィルムというものを組み合わせます。無偏光フィルムは、その一部を構成するものです。
反射型偏光フィルムを単独でつけると、虹色の光の干渉模様が見えてしまったり、隣接する他の光学フィルムと接触した際に傷がつきやすかったり、フニャフニャして扱いにくいといった欠点が生じます。その欠点を補うため、主に貼合して使用されるのが、無偏光フィルムです。

⑨位相差フィルム
液晶ディスプレイに用いられます。光の屈折による光学的な歪みや、画面を見る角度によって見える色等が異なるといった変調を防止する機能を果たします。

⑩視野角向上フィルム
液晶ディスプレイにおいて、黒のコントラストをどの方向から見ても鮮明にするため、屈折率を一定に保って光の洩れを抑えてコントラストを高めることで視野角を拡げるという役割を果たします。液晶ディスプレイの大画面化にはなくてはならないものです。

⑪輝度向上フィルム
バックライトから照射される光を集め、液晶ディスプレイの輝度を高める役割を果たします。異なる屈折率を持つ2つの層でできており、波長に合った光を選択して透過させ、反射した光はミラー層で跳ね返して、もう一度輝度向上フィルムに照射します。これを繰り返すことによって光のロスを減らし、使用できる光量を増やすという仕組みです。

⑫電磁波シールドフィルム
可視光線は透過させ、プラズマディスプレイパネルが放出する電磁波を遮断するためのフィルムです。

⑬特定周波数選択遮断フィルム
透明さを維持しながら特定の周波数の電波を遮断、吸収するためのフィルムです。

⑭光学ローパスフィルターフィルム
モアレと呼ばれる一種の縞模様が出るのを防ぐ目的で、CCDカメラ等の撮影装置につけられるフィルムです。一般的には厚さが1ミリ以上の水晶が使われますが、携帯電話用カメラ等薄型の撮影機器向けには特殊なフィルムが開発されています。
 

光学フィルムの様々な用途

光学フィルムは、これまで述べてきた液晶ディスプレイやプラズマディスプレイにおいて、光の拡散や位相差対策等に用いられているだけでなく、以下のように他の製品にも幅広く使われています。

➀偏光サングラス、3Dメガネ用偏光フィルム
屋外使用による変形、変色、劣化等を防ぐ機能も保持し、メガネの透明性を確保し、位相差の制御に重要な役割を果たします。

②LED照明用拡散フィルム
LEDを光源とし、高輝度で低消費電力に優れており、光を拡散させる役目を果たします。

③各種センサ
周囲が暗くなると画面も暗くし、周囲が明るくなると画面も明るくするといった、照度センサ等に使われます。
 

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