恵和株式会社 KEIWA Incorporated

工程紙

工程紙とは何か

工程紙は、製品を製造する工程で使う紙やフィルムで、何かを製造する過程において製造されるものを支持するために、一時的に必要とされる資材を指します。

たとえばデコレーションケーキを作る場合、クッキングペーパーでできたカップにタネを入れてオーブンでスポンジケーキを焼きますが、焼きあげてしまった後は、クッキングペーパーのカップは要らなくなるため、剥離してから次の工程であるデコレーションに移ります。このクッキングペーパーでてきたカップが工程紙です。

このように工程紙は、作る過程においては形状形成を助ける等、様ざまな素材の製造過程において必要不可欠な役割を果たしながらも、最終製品としては不要となってしまう機能製品です。

工程紙の特徴は、
■最終目的である製品と一体となって使用されるため、製品に接する面の状態が最終製品の品質を直接的に左右する資材である。
■製造過程で高熱等の過酷な条件にさらされても、寸法の変化等をおこさないこと。
■工程紙に印刷されたインキが、製品を使用する時にスムーズに剥がれること。
といった厳しい条件を求められることです。

工程紙の種類と用途

工程紙には実に様ざまな種類があり、その用途も多岐にわたっています。一見、何でもない紙やフィルムのようではありますが、その役割はとても重要で、今述べたように、製品や商品の品質保持や製造工程における効率化にはなくてはならないものです。そのいくつかについて解説します。

➀剥離紙
工程紙の中に、剥離紙あるいは剥離フィルムと呼ばれるものがあります。剥離紙、剥離フィルムの大きな役割は、シールやラベル等の粘着製品が実際に用途に応じて貼られるまでの間、粘着剤面をしっかりと保護することです。紙やフィルムにシリコーン等の剥離剤を塗ることで、粘着剤面からきれいに剥がせるようになっているのが、剥離紙と剥離フィルムです。
剥離紙と剥離フィルムは、最終的には剥がして捨ててしまうのですが、粘着剤の種類に応じた適度な剥離力や、印刷や抜き加工に対応するための厚みや強度、さらには貼り方に応じた剥がしやすさにまで高度に求められます。

②合成皮革用剥離紙
合成皮革用剥離紙(工程紙)は、塩化ビニルやポリウレタン等を原料とする合成皮革を製造する工程において使われます。合成皮革を製造する際の支持体になると同時に、表面に形状を与える機能を持ち合わせる場合もあります。つまり型紙の役割を果たすのです。
紙の表面に剥離剤を塗り、さらにその上に型押しロールで凹凸の柄を形成した工程紙に、塩化ビニルやポリウレタン等の樹脂を塗って基布を貼り合わせます。そして乾燥してからこれを剥がすことで柄を転写します。
剥離性能等の品質だけでなく、意匠性も求められます。意匠性の良し悪しで、こうした剥離紙の販売量が左右されることも大いにあるのです。合成皮革用剥離紙の用途は靴、鞄や自動車用のシート等多岐にわたります。

③炭素繊維複合材料用剥離紙
ゴルフクラブのシャフトや釣りざお等に多く使われているのが炭素繊維複合材料ですが、これらゴルフクラブや釣りざおの製造過程で、炭素繊維を樹脂で固めてシート状の中間材料であるカーボンプリプレグを加工する際に、台紙として剥離紙が使われています。
カーボンプリプレグとは・・・カーボン繊維に、エポキシ樹脂等を含浸させ、未硬化のまま巻き取った中間素材のことです。繊維基材や樹脂の組み合わせによって多くの種類があります。

④発泡ポリウレタン用工程紙
工程紙への原料の染みこみがないことや、次工程まで表面を覆った状態を保ち、製造ラインを汚さないことが求められる工程紙です。

⑤軟質ウレタンスラブ成型用工程紙
プラスチックのフィルムがウレタン側に付いてクラフト紙と剥がれるタイプと剥がれないタイプの2種類に分かれます。

⑥ポリウレタンフォーム用工程紙
ポリウレタンフォームを製造する際に用いられます。スラブと呼ばれる四角い板状にするのですが、コンベアーと連動した工程紙の上にポリウレタンの原料となる反応液を流して発泡硬化させて作られます。工程紙表面には離型剤を塗布したものとポリエチレン等の樹脂がラミネートされたものがあります。
発泡後に工程紙表面にラミネートされた樹脂がポリウレタンフォーム側へ転着し、工程紙の基材である紙と剥離してリサイクル性を高めた工程紙もあります。

⑦ウレタンスキン層用工程紙
透湿性と防湿性を兼ね備えた防寒着の外装や内装に用いられるウレタンフィルムや絆創膏用の基材等薄膜樹脂被膜層の形成やその被膜と布地とのラミネート工程で使われます。医療分野や衣料関係に貢献します。

⑧発泡塩ビ用工程紙
住宅の床材として、高価なフローリング材の代用品として急速に普及した発砲塩ビシート用の印刷転写用紙があります。この発砲塩ビシートは、溶けた塩化ビニル樹脂に発泡剤を混ぜたものをこの工程紙の上に塗り広げ、発砲させながら硬くして製造します。
この製造に使う工程紙の表面に、印刷メーカーで木目等の柄を印刷しておくことで、その柄が製品の表面に転写され、様ざまな意匠を施すことが可能になるのです。 

⑨抜き加工用工程紙
フィルム、両面テープ、クッション等を製造する作業において、台紙セパレーター®の上に両面テープや各種フィルムの材料をラーミネーターで貼り合わせて、金型や刃型をセットしたプレス機で材料を打ち抜く加工を指します。
そしてこうした抜き加工の業界では、製品そのものになるフィルムや両面テープ、フィルム材料以外に、抜きカスを剥離するため、両面テープが付着しないように製品間に層間紙として使用するため、製品自体にはならない、工程間で使用するフィルム、片面テープ、 微粘着フィルム等が必要になります。これがこの業界における工程紙です。

⑩セラミックコンデンサー用工程紙
セラミックコンデンサーはペースト状のセラミックスを離型フィルムに塗布し、乾燥後剥がして使用されます。近年のコンデンサーに要求される膜厚が薄いため、離型フィルムに欠点があると製品の性能に影響を及ぼします。

⑪キャリアテープ
高度集積回路等の電子部品を搬送するためのキャリアテープが使われます。これも工業用工程紙の一種です。キャリアテープには、微細な紙の粉等が発生しないよう、高い紙密度と層の間の強度が求められます。

⑫ガラス繊維不織布
低密度なガラス繊維不織布には、様々な樹脂をたやすく浸透します。また、材料を波上に加工するコルゲート加工性に優れているため、コルゲートフィルターの基材に適しています。屋根材、天井材、不燃壁材、表面材、床材等に使われるほか、 蚊取り線香下敷にも利用されます。

⑬コンクリートに絵柄を書く工程紙
この工程紙には、コンクリートが固まるのを遅らせる特殊インクで絵柄が印刷されています。例えばその工程紙をコンクリート壁の型枠の内側に敷いてから生コンクリートを流し込み、コンクリートが固まった後に水洗いします。すると特殊インクを使用した部分だけコンクリートの内部が露出し、表面に絵柄等が浮き出るというメカニズムです。
ホテルやリゾート施設、大型店舗等を新築、改築する際、こうした施設の外壁には、強度や耐久性等の機能性や施工性に優れるだけでなく、意匠を凝らしたいというニーズがあり、こうした工程紙の利用価値は高いと言えます。

⑭食品カップ用工程紙
パラフィンを塗ったグラシン紙が使われます。お菓子、パン、ケーキ等の食品カップ用ですので、製造過程において異物検知器等による異物管理が徹底されなければなりません。

⑮食品用工程紙
蒸しパン、肉まん、菓子等の台紙として利用される工程紙です。食品からセパレートを取り去る際に、適度な剥離性があることが求められます。

⑯医療用工程紙
絆創膏等に使われている剥離紙です。用途に合わせて基材、厚み、剥離力等変更することが求められます。絆創膏等の衛生材料、カイロ用、湿布用の剥離紙としても使われます。
 

Home恵和にまつわるキーワード工程紙

お問い合わせ

恵和ではお客様ごとのニーズやご要望に合わせた柔軟な開発・生産が可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム